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解釈し判断する

解釈し判断する

仕事で上長から指示されたことや、指摘されたことが分からないときがありませんか?

もちろん、会話の受取側の知識(視点)不足などで発信側の意図をくみとれない場合もありますが、発信された情報が抽象度が高い場合で、意味が複数読み取れるときに意味が分からなくなるときがあります。
仕事に関わることや、自分にとって大切なことで、発信された情報の意味が分からないままだと不安になりますよね。
なぜ、そのようなことが起きるのでしょうか?

価値基準と判断

情報の伝達がなされるとき、受取側は自分の価値基準で受け取る情報を精査判別します。
その後、受け取ったインプット情報に意味を持たせ記憶領域にしまいます。
記憶領域にしまった情報で、その情報一つ一つを記憶するときに付けた意味タグ、そしてこれまでしてきた判断の結果があなたの価値基準となっています。

そのため「判断」は、これまでの積み重ねで得た「価値基準」と取捨選別した「インプット情報」を掛け合わせた結果行われるものです。
では「判断」とは何なのでしょうか?
「判断」の「判」という字は、「刀」で「半分にする」と書きます。
「断」は断つ。なので、「判断」とは「こうである」と「こうでない」を刀で半分に断って「分けること」を意味します。
なので、「わかってきた」とは「分けられるようになってきた」ということをいいます。
そのため、「分けられたそれぞれのインプット情報」に「それぞれの意味タグ」を付けること(解釈)に成功したというのが「意味が分かった!」ということです。
逆に、「このインプット情報にはどのような意味タグを付ければいいのかわからない(分けられない)」と困っている状態が「意味がわからない」という状態になります。

「わかりにくい表現」とは「分けにくい表現」

「わかりにくい表現」とは「分けにくい表現」で、2つのパターンがあります。
・分けられない(わからない)
・分け間違いやすい(誤解しやすい)

価値基準と選択

メッセージを発信するときは、受取側が「意味のタグづけミスをする余地がない表現になっているか?」を自問すべきです。
他人が使っている表現も「複数解釈できないか?」という視点でチェックしてみてください。
意外とそういう表現を使っていることは多いです。

見方を変えると、こちらが伝えたい価値(メッセージ)を受け取ってもらうためには、相手の「タグ付け基準(価値基準)」を知ることが大切です。

そのための方法として、「傾聴」や「マーケティング調査」があります。
相手の話を聞いて、どういうタグ付け基準になっているかを教えてもらうのです。

そこから「どんな誤解パターンがあるのか?」を収集し、熟知しておくと、タグの付け間違いを予防するメッセージをつくることができるようになります。

なお、もう誤解してしまっている場合は、「そうじゃないんだよ」と「タグの付け替え」を促すメッセージを発信することで、受取側が「タグの付け替え」が行えれば、誤解を解くことができます。
誤解パターンを把握して意味タグの付け替えを促してみるだけで、受取側の「価値基準のアップデート」はみるみる加速します。その結果、判断力が向上していきます。

その際に、もう一つ応用できる思考ツールとして、「フールプルーフ」という考え方があります。電機機器業界で使われている考え方で、「万が一、間違った使われ方をしても、故障しない、危険が生じないようにする」という間違えることを前提として想定内にする考え方です。
「フールプルーフ」を応用する場合、ものわかりの悪い人や早とちりな人をイメージして、そんな人でも誤解なく、すぐわかる表現や構成にするということになります。

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チームの場合は価値基準を揃える

チームで何かをする場合は、チーム内で価値基準を揃えることで、解釈間違いを起こさせないようにしたほうがいいです。
そのための思考ツールとして、「ODSC」を確認するという手法があります。
O(目的:Objecctives)
D(成果物:Deliverables)
SC(成功基準:SuccessCriteria)
を決めることで、チームの中でのやることに対しての基準を整えるという思考ツールです。

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考えるとは

その時その時の状況によって気分が変わることはよくあると思います。
気分がご機嫌でポジティブな状態。
気分が不機嫌でネガティブな状態。
気分に左右されると、ご機嫌な状態でする解釈ですとポジティブな判断、不機嫌な状態でする解釈ですとネガティブな判断をすることが多くないですか?
しかし、そこで考えることができると、判断を変えることができます。
「思考」とは、「思う」と「考える」と書きます。
入力情報に対して、価値基準をもとに「思う」がまず処理されます。
「思う」という現象は、止めることができません。
ですが、「思ってしまったこと」を踏まえて、どう処理するかを「考える」ことはできます。

こう思ったけど、「こういう理由があるからこう考えることにしよう」と選択することが「考える」ということです。

「思ったこと」を「考えないで出力」してしまうと「自己中な表現」になることが多いです。
価値基準とその時の気分によって、「思ってしまうこと」は変わります。ですが、その後に「考えて選ぶ」ことによって、何を選ぶかは常に自分で決められます。

まとめ

・「分けられたそれぞれのインプット情報」に「それぞれの意味タグ」を付けること(解釈)に成功したというのが「意味が分かった!」状態。
・「このインプット情報にはどのような意味タグを付ければいいのかわからない(分けられない)」と困っている状態が「意味がわからない」という状態。
・「わかりにくい表現」とは「分けにくい表現」。
・他人が使っている表現も「複数解釈できないか?」という視点でチェックしてみる。
・「思ってしまったこと」を踏まえて、どう処理するかを「考える」ことはできる。


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