以下は、実在の特定の企業ではなく、業種の一般的な状況から組み立てた想定を入力した、実際の出力です。 AIの出力は、誤字や改行の整形、列の省略や単位の付記といった体裁の調整をのぞき、中身を書き換えずに掲載しています(長い箇所は「抜粋」「中略」と断って削り、社内向けの指示文だけは省いています)。
実物を見せないと売れない、その実物が固定費になる
座り心地は、座ってみないと分かりません。寸法も、置いてみないと決まりません。だから実物を見せる場所が要ります。
ところがその場所は、家賃と展示在庫と接客の人件費が一体で毎月乗ってきます。売るために要るものが、そのまま固定費になる。増やせば費用が増え、減らせば売れなくなります。しかも来た人の6割は買わずに帰るので、来ていない人にまで手を伸ばす余力が残りません。
その場面を想定して、AIツール「集客から購入までの流れを設計する」に相談してみました。
確かめたかったのは2つです。①来場していない人を購入まで運ぶ道が、本当に出てくるのか。②1台売り切りしかない会社に、フロント・ミドル・バックの3階層が組めるのか。この記事は、その30分・14往復をそのまま載せた記録です。AIが返してきたものと、人間が確かめないと危ない場所の両方を、出力を引きながら見ていきます。
設定はこうです。
- オーダー家具を企画・販売する会社の取締役 販売本部長(製造は協力工房に委託)
- 従業員52名、年商8億4000万円。ソファと椅子が中心で、寸法も張り地も客ごとに変える
- 1台18万〜45万円、平均28万円。月の受注は約22台、粗利率42%
- ショールームは2拠点。2024年に3拠点目を出して1年で撤退した
- 来場者の約4割が成約するが、オンラインだけの成約はごくわずかで返品も出ている
- 販促に使えるのは月12万円、動ける人員は本人を含めて2名
この会社は、業種の一般的な状況から組み立てた想定であり、実在しません。
AIに入れたもの
最初に貼ったのは、上の状況をそのまま書いた文章です。最後の段落は、こう書きました。
来場されていない方を、どうやって購入まで運べばいいのか、その流れ全体を設計してもらえますか。
対話モードを選ぶと、AIは5つの質問から始めました。そのうち1つが、この記事の分かれ目になります。商品の階層構造について「既に3段階ある/一部ある/単一商品のみ」の3択が出たので、C(単一商品のみ)を選びました。本体1台の受注しかない会社に、階層を作れるのかを見たかったからです。
材料として渡した中には、こちらが困っている場所も書いています。
- ボトルネックだと思っているところ: 来場していない人に、何も手を打てていないこと
もう1つ、あとで効いてくる行があります。既存顧客について書いた、次の2行です。
ショールームの来場者台帳が約4,200件、購入済みが約1,500件。 メールを送ったことはほとんどない。
AIが返してきたもの(抜粋)
実物の代わりに、実物の断片を送る
最初に返ってきたフロントエンド商品の案が、この記事でいちばんの収穫でした。
提案1: 体験型「座り心地サンプルキット」 - 価格: 1,000円〜2,000円程度(送料込み) - 内容: 主要なソファ・椅子の座面に使われているクッション材サンプル(硬さ違い複数)、代表的な張り地サンプル、ミニチュア模型、採寸用メジャー、ARアプリ連携QRコードなどを同梱。オンラインでの座り心地と寸法の体験を疑似的に提供。(中略) - 想定獲得数: 月間30人
ショールームに来てもらう代わりに、ショールームの一部を切り取って送るという置き換えです。価格は1,500円で以降の計算に使われ、ミドル(本体28万円)、バック(生涯メンテナンスサポート 15,000円/月)と並べて3階層になりました。
来場しない人のための導線は、最終的に4本になりました。サンプルキット、オンライン個別相談会(Zoom)、3D・ARアプリでの自宅配置、そして顧客の自宅で開く体験会です。
制約を伝えたら、最後まで守った
7つの部門のうち最初の「認知部門」で5つの施策が出たところで、一度だけ条件を伝えました。優先順位を付けてほしいこと、そしてショールームを増やす案は取れないこと(3拠点目を1年で撤退しているため)です。
承知いたしました。ショールームを増やす案は不可という前提ですね。撤退の経験を踏まえ、オンラインでの認知獲得と体験提供に注力する形で施策を絞り込み、優先順位を付けて再編成します。
このあと、残り6つの部門でも店舗を増やす案は一度も出ませんでした。制約は、1回言えば最後まで効きます。これは人間相手の会議より確実かもしれません。
12ヶ月の収支が出る
対話を進めると、月ごとの売上・コスト・損益が12ヶ月分出てきました。Month 1は赤字で始まり、Month 3で黒字に変わり、12ヶ月後の累積利益は4,177,644円。CSVのサマリー表まで付いてきます。
ここまでで30分、14往復です。ただしこちらは、答える内容をあらかじめ決めたうえで臨んでいます。考えながら答えれば、もっとかかります。設計図・KPI・予算配分・ロードマップまで揃うので、出てきた量に対して、確かめる手間のほうが問題になります。
いちばん効きそうな一手は、最後に出てきた
35個目の施策、つまり7つ目の部門の5番目に、こういう案がありました。
【施策5: 顧客主催の「座り心地体験会」支援プログラム】 - 内容: 熱意あるファン顧客が、自宅で友人・知人を招いて「座り心地体験会」を開催する際に、サンプルキットやカタログ、ノベルティなどを提供し、開催をサポートするプログラム。(中略) - 優先度: 中(顧客主導の体験型マーケティング)
この会社の板挟みは「実物を見せる場所が要る、しかしその場所が固定費になる」でした。顧客の家を会場にすれば、場所は要るのに自社で持たなくてよくなります。板挟みに正面から答えているのは、35個のうちこれ1つです。
上から順に読んで、上から3つを実行すると、この案には届きません。
読み解き ── 人間が確かめるべき場所は、4つ
①:粗利率が、原価率になっていないか
Phase 1の収支に、こう書かれています。
- コスト: 12万円(販促費) + 3.6万円(ミドル原価42%) = 15.6万円
このときのミドル売上は56万円(2件×28万円)です。56万円の42%は23.5万円で、3.6万円ではありません。3.6万円は売上の6.4%にあたります。同じ形の行がPhase 2(112万円に対し6.7万円)とPhase 3(140万円に対し8.4万円)にも続きます。
こちらが伝えたのは「粗利率42%」でした。それが「原価42%」という表記に変わり、しかもその42%どおりの計算にもなっていません。
面白いのは、次の往復で直っていることです。12ヶ月シミュレーションでは「ミドル商品原価324,800円(2件×28万円×58%)」となり、粗利率42%と整合します。直ったのは新しい表だけで、前の表はそのまま残っています。読む人が前の表を見ていれば、間違ったままの数字を持ち帰ります。
②:自分が言っていない前提が、計算に入っていないか
12ヶ月シミュレーションの前提条件に、こちらが一度も言っていない数字が並んでいます。初期投資10万円、決済手数料3.6%、その他固定費 月5万円。こちらが伝えた費用の金額は「販促に使えるのは月12万円ほど」の1つだけです(その前の往復では、獲得コストの計算に「広告費10万円」という数字も使われています)。もう1行、これがあります。
- 人件費: 月額20万円(マーケティング担当2名として、月10万円/人 × 2名 ※ただし、既存の人件費は販促費とは切り離して考える。ここでは販促関連の人件費を計上)
切り離して考えると書きながら、20万円を計上しています。Month 1の赤字119,913円は、この20万円が入った結果です。前提を1つ外すだけで、赤字は黒字に変わります。
もう1つ、性質の違う置き換えがありました。
- 既存顧客: 約1,500件(メールアドレス保有)
こちらが書いたのは「購入済みが約1,500件」と「メールを送ったことはほとんどない」です。メールアドレスを持っているとは言っていません。この1件から「既存顧客へのメールマガジン」が主要施策として組まれ、優先度「高」に置かれました。送り先の名簿が実際にあるかどうかで、この施策は成立も不成立もします。
③:合計と単位が、途中で入れ替わっていないか
つじつまの合わない箇所は、数えると複数ありました。
- 予算12万円に対して、35の施策の月額コストを1つずつ足すと57万円(部門別に13.5/10.5/11.5/5.5/4/3.5/8.5万円)。ところがAI自身のまとめは合計46万円で、7部門のうち4部門は、まとめの額と施策の積み上げが合いません。さらに予算配分の表のほうは12万円に収まっているので、施策側・まとめ・配分の3つが別々に作られています
- ツール費の扱いが途中で変わる。Phase 1では月3万円が12万円の内訳に入っていますが、予算配分プランでは「ツール費: 月額3万円は別途(上記予算とは別で計上)」になります
- AR・3Dのアプリに、月5万円が2部門に乗っている(興味部門で導入し、検討部門で「さらなる強化」として再度5万円)
- 本文とCSVで顧客数が違う。Month 3はミドル累計が本文8人・CSV10人、Month 7は本文35人・CSV37人
- 獲得コスト(CAC)が3通り。3,333円/人、30,000円/人、そして最後のKPI欄では「1,000円/人」
いちばん大きいのは、次の1か所です。
- 総投資額: 10万円(初期投資)+ 12万円(12ヶ月の広告費) = 154万円 - 累積売上: 205万円/月 × 12ヶ月 = 2,460万円
累積売上を、最終月の205万円に12を掛けて出しています。同じ出力の中に月ごとの売上が載っていて、そちらを足すと約2,106万円です。最初の6ヶ月は60.5万〜203.5万円なので、354万円ほど多く見えている計算になります。同じ型の掛け算は「年間営業利益(推定)5,634,804円」にもあり、こちらは自分で出した累積利益4,177,644円と1,457,160円ずれます。
書かれた式のとおりには足せない行もありますが(この行の「12万円」は12万円×12ヶ月=144万円のことで、初期投資10万円を足した154万円のほうは合っています)、月ごとの数字を足す計算そのものは合っています。合っていないのは、どの数字を使うかの選び方のほうです。だから電卓で検算しても見つからず、「その数字はどこから来たか」を1つずつ戻して確かめるしかありません。
④:いまの本業が、どこへ行ったか
12ヶ月の収支は、新しく作るファネルの分だけで組まれています。Month 1は「-119,913円(赤字想定)」、Month 3で黒字化です。
ところがこの会社は、いま月に約22台、平均28万円を売っています。月およそ616万円の商売が、この収支のどこにも出てきません。
間違いではありません。新しい導線だけを切り出して見ているのだから、そういう計算になります。ただ、この表を社内に出せば「うちは3ヶ月赤字なのか」と読まれます。AIは間違えていないのに、読む側が読み違える。この記事でいちばん気をつけたい場所です。
整理すると、解いた問題はこうなる
問題は、原因・作用・対象・結果の4つをつなぐと形が見えます。上から下へ読むと因果の流れ、左右で見比べると変わった場所が分かります。
| 現状 | AIが組み直したあと | |
|---|---|---|
| 原因 | 座り心地と寸法は実物でしか決まらない | 同じ(変えていない) |
| ↓ | ↓ | |
| 作用 | その確認を、店という1か所にまとめている | 確認する働きを店から取り出し、4つに分けて配る(ここだけ変えた) |
| ↓ | ↓ | |
| 対象 | 店に来た人だけが確認できる | 来場していない人にも確認の手段が届く |
| ↓ | ↓ | |
| 結果 | 来場者の6割が未成約、オンラインは返品、店を増やせば固定費が増える | 遠方の人が候補に入り、店を増やさずに済む |
4つのうち、動かしたのは作用の1つだけです。原因は動かせないままで構いません。原因を変えられないとき、作用の置き場所を変える。これが今回の解き方です。
では、AIに任せてよかったのはどこか
7段階の導線を漏れなく埋め、制約を守り、階層と価格を具体的な金額まで置く。ここまでを30分で出すのは、人間より速いはずです。
並べる仕事は速い。並んだものの中から効く一手を見つける仕事は、まだこちらの仕事です。今回いちばん効きそうな案が、35個中の35番目に「優先度: 中」で置かれていたことが、それを示しています。
実在の前例 ── 同じ仕組みで成功している会社
この記事で見た解き方は、「店という箱から、相談と体験の機能だけを取り出してオンラインへ写す」というものです。同じ形で来店しない人と商談できるようにした会社が、実在します。
住宅設備のLIXILです。公開情報によれば、同社はオンラインショールームを設け、自宅にいながら商品の相談ができる仕組みを用意しています。ショールームのスタッフとオンラインでつなぎ、離れて暮らす家族が同席することもできます。累計300,000組が利用し、お客さま満足度は93%(いずれも2024年10月時点)。2024年7月には、全国のショールーム(エクステリアショールームを除く)でタブレットを使ったオンライン相談も始めています。
業種は違いますが、構造は同じです。実物を見ないと決められない商品を扱い、ショールームが体験・在庫・接客・受注を一体で抱えているという点で、オーダー家具の会社と重なります。箱を増やすのではなく、箱の中の機能を取り出して別の場所に置いた、という形です。
出典:LIXIL オンラインショールーム https://www.lixil.co.jp/showroom/online_customer_service/ / LIXILニュースルーム(2024年7月25日)https://newsroom.lixil.com/ja/2024072501
今日から試すには
いちばん確かめる価値があるのは、この記事の数字ではなく、あなたの会社の数字です。30〜60分ほどで、商品の3階層と価格、7段階の導線、12ヶ月の収支まで一度並べられます。並んだものが正しいかどうかは、そこから人間が決める話です。合計欄と、自分が言っていない前提が混ざっていないかだけは、必ずご自身で確かめてください。
使ったのは、AI壁打ちツール Idea Realize AI(https://idea-realize-ai.com/)の「集客から購入までの流れを設計する」です。ご利用には会員登録が必要です。無料でお試しいただける期間があり、期間終了後は自動で有料に切り替わります。最新の条件はサイトでご確認ください。
本記事について
本記事に掲載したAIの出力は、業種の一般的な状況から組み立てた想定を入力して得られた実際の応答です。実在の企業・団体・人物とは関係ありません。
生成AIの性質上、同じ内容を入力しても同じ出力が得られるとは限りません。掲載したのは記事作成時点の一例です。
出力に含まれる数値・予測・評価はAIによる推計であり、事実の裏付けや将来の成果を保証するものではありません。記事中でも触れたとおり、合計と、前提に置かれた費用はご自身で検算してください。
記事内で言及した各社のサービスは、各社の公表情報にもとづく紹介であり、優劣の評価や推奨ではありません。詳細は各社の公式情報をご確認ください。
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